ギヨーム・ミュッソ 2

『作家の秘められた人生』も面白い。小説家主人公ものは概ね好みだが、前半はなぜか断筆してしまった人気作家の謎を、若い男女が解こうとする…というありがちな展開。ところが探偵役の一人が殺されてしまい、そこからストーリーはジェットコースター。そんなのありかよ、というとんでもない結末へと突き進む。

まあ構成としてはやや疑問なところもあるが、この発想の無重力感は快感でもある。

 

『パリのアパルトマン』はイマイチ。男女が画家の遺作を探すううち、その秘密を知って…という話なのだが、ミュッソ独特の思いもかけない展開はあまりなかった。

むしろ重厚な群像劇として読むべき。

 

 

ギヨーム・ミュッソ

ギヨーム・ミュッソは、最近イチオシしているフランスのミステリー作家。

邦訳は4冊、集英社文庫から出ています(他からも出ているかもしれません)。フランスミステリーというと、名高いジャプリゾの『シンデレラの罠』を読んで、「あ、これ、合わんわ」と思ってしまい、なんとなく敬遠していたのだが、このミュッソにはドハマリ。雰囲気的には英国サスペンスに近い気がします。

どれも傑作なのですが、『ブルックリンの少女』が構想の秀逸さからベスト。あれとそれが、そう組み合わさるのか、という驚きの着想があります。こういうところにミステリーセンスを感じますねえ。

恋人が突然失踪した、子連れ男が親友の助けを借りつつ、彼女の跡を追う。彼女は過去に少女誘拐サイコパスに攫われたことがあるらしく…同じ頃、その母親も殺されている。少女の過去と、母の殺害が意外な形で繋がるのが読みどころ。

 

 

ミステリーとその周辺

高山厳(こうやまいわお)といいます。

ミステリー作家。ただし、これは今年から使い始めた新ペンネーム。

2015年まで、本名の戸松淳矩(とまつあつのり)で活動していました。

寡作ですが、2005年に『剣と薔薇の夏』という作品で、推理作家協会賞長編部門をいただきました。

 

ミステリーとその周辺について書きます。

メインは読書感想文。書評というほど本格的なものではなく、気楽に。本格的に書くのがめんどくさいからですが。

自身の著作は8作ありますが、本名が6冊(いずれも東京創元社)、あとは別名義(非ミステリー含む)。

じつは本業が編集プロ勤めだったので、ゴーストライティングも6冊あります。

2015年に出した『終戦マグノリア』のが今のところ最後で(別名義版はもっと最近)、7年ブランクがありますが、そろそろ新作を出したいと思っています。

こちらの日記も、まあボチボチと。

なにしろ年寄りになってしまったので、あちこち身体もガタついているし、眠くて。